「プロ市民」の持つ意味合いとは。

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プロ市民(プロしみん)とは、以下のような造語です。

1.「自覚・責任感を持つ市民」(=プロ意識を持つ市民)
2.一般市民を装い市民活動と称しているが、実質的には営利目的または別の目的を持つ政治活動家を指し、その行為を批判する際に用いられる2ちゃんねる用語

「自覚・責任感を持つ市民」としての「プロ市民」は、佐賀県鹿島市長・桑原允彦氏が考え出した造語であるとされ、鹿島市の総合計画にも見受けられます。政治にもっと関心を持とう、地域密着型の活動を通しプロ意識を持って政治や地域活動に参加する市民になろうという運動や人々を指す言葉であったとされていますが、ネガティブな使われ方としての「プロ○○(○○の部分には職業等の名前が入る)」という造語が使われることはこれ以前からも度々あったので、さほど特殊な用語ではありません(総会屋の別名である「プロ株主」がその好例)。

2ちゃんねる用語としては、「左翼活動家の隠れ蓑」あるいは「市民活動で利権を得る者たち」を意味するレッテルとしての「プロ市民」があります。つまり「アマチュアのふりをしたプロによる偽の市民活動」というような意味合いです。この言葉は2001年8月に匿名掲示板2ちゃんねるのマスコミ板に立てられた「市民団体にふさわしい名前を…」というスレッドにて誕生したとされていますが、異説もあります。また、こちらの「プロ」はプロフェッショナルの他にプロレタリアート、プロパガンダもかけているとの説もあります。

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また漫画家の小林よしのり氏は、『新・ゴーマニズム宣言』において「プロ市民」という言葉を用いています。これは、彼が大きく関わった薬害エイズ裁判において、“原告支援団体が次第に労働組合や、日本民主青年同盟などの左派組織に乗っ取られ、結果団体から追い出された挙句にバッシングまでされたためである”と主張しています。この経緯については、『新・ゴーマニズム宣言スペシャル 脱正義論』に詳しくあります。その後、慰安婦問題などでの左翼活動家たちの暗躍を目の当たりにした小林氏は、「プロ市民」という言葉を多く用いるようになりました。

ジャーナリストの清谷信一氏は「プロ市民団体」と「普通の市民団体」をメディアはしっかりと分けて伝えるべきだとし、また「右翼団体」の抗議の場合は「右翼団体」として報道されるのに対し、「プロ市民団体」「左翼団体」は単に「市民団体」と報道される矛盾を指摘しています。

市民活動とは、政治についての知識をある程度身に着けている者、若しくは初心者が、問題意識を持って政治などについて議論や集会などの活動を行うものですが、プロ市民という際、その活動者の活動を「特定グループに属する市民・党派や、特定のプロパガンダ、外国勢力などのために利益誘導の活動を行っているのであろう」とみなした者が、否定的文脈において用いています。この「プロ市民」は、プロ株主の持つ意味合いに近い。「特定グループに属する市民・党派や、特定のプロパガンダ、外国勢力などのために利益誘導の活動を行っている者」と捉えられる限りにおいて、職業的アジテーターや工作員のほか、職業として市民活動と関わる弁護士(特に人権派と呼ばれる弁護士)・政治家・学者であってもプロ市民とされることがあります。なお、欧米諸国によく見られるように、政府の政権交代の度に政府上級官僚とNGOあるいはNPO幹部との間で大規模に人的流動が起きる社会では、社会のエリート層として受け止められている市民セクタのプロフェッショナルという階層が存在します。彼らは自らの主義主張と合致しない政権の時期にはNGO、NPOの幹部、専門性の高い部署の活動家として活動し、主義主張の合致する政権が成立すると、政府の上級官僚として迎え入れられて政府スタッフとして活動します。しかし日本でいうプロ市民は、市民セクタのプロフェッショナルとしての活動をしているものではなく、政治活動目的あるいは新聞の紙面づくりのために活動しているものを指しています。

日本社会でこのような階層が成立せず、社会の非主流的異端者として揶揄される「プロ市民」概念が生じた背景には、近代社会の成熟の過程で官僚社会の閉鎖性が高まったこと、また第二次世界大戦後の政治・思想・言論の分野で戦勝者であり占領政策を通じて日本社会に強い影響を及ぼしたアメリカ合衆国の存在、東西両陣営の国際的対立、第三世界の錯綜した関係性の中で、複雑なねじれ現象(例えば反米ナショナリズムの要素の強い左翼に、近代国民国家的中央集権主義の要素を抱えた保守といった)をはらむ「保革対立」の構図が演出されていった歴史が深く影を落としています。